Tricksters
赤い煉瓦の門から少し離れた場所にある玄関が開く。
「……っ!?」
思わず声を上げたくなってしまうほど、李花によく似た女性がそこから顔を出す。
李花のお姉さんか?
李花をちょっと大人にしてセレブな雰囲気を出した感じだ。
アイツも将来、こんな風になるなら……それこそ絶対手放さねー! とガッツポーズ作っていると
「はじめまして、李花の母親です。淳一くんの話は、いつも聞いてます」
「母親っ?」
李花の母親は、如何わしそうに冷たく俺を見た。
門の柵は、閉じたままだ。
「あの子、さっき泣きながら帰ってきて
今は誰とも会いたくないそうよ。
折角来ていただいたけど、お引き取り願えますか?」
「李花、誤解させてしまったんです。少しだけでも話をさせてもらえませんか?」
母親は、首を横に振った。
だよな……
この展開は、ある程度予測していた。