Tricksters
李花は、俺がヨシミちゃんと浮気してると勘違いしてるだろうし
きっと今は、何を言おうと言い訳にしか聞こえない。
それでも、ここに来て
俺たちのアパートが取り壊されてしまう事を伝えなきゃならない。
「李花に伝えていただけると助かります。
事情があって、引っ越しをしました。
携帯にも電話をします。
事情を話せば、誤解だったとわかるはずですから」
「わかったわ。それは伝えておくわね」
李花の母親は、渋々頷いてくれてるみたいだ。
まるで、俺を値踏みするみたいに睨みつけてきた。
「それから、転職しまして……」
つい口からこぼれてしまった一言。
そうだ。
トリックスターズの社員証を持ってきたはずだ。
俺は、慌ててズボンのポケットに手を突っ込む。
百分は一見に如かず
信頼性を失わないように、俺は社員証を見せた。