Tricksters
手品グッズ販売してるだけだって言ってんだろ!
────ミエちゃんみたいに、社員証をスキャンしてみたら魔法みたいに、その扉は開いた。
「だーかーらぁ……
手品グッズ販売してるだけだって言ってんだろ!」
「嘘つくなよ!
俺を李花と別れさせて、人が快適に住んでたアパートの上に国道作ろうとしてただろ?
おまけに、ヨシミちゃんには人間関係がどうとか、そういう仕事だって言ったんだろ?」
気に食わない。
コイツ、なんか嫌いだ。
男前野郎の胸ぐら掴むと、壁に叩きつけて前後に揺する。
今朝も、誰にも気付かれないような設計ミスの階段を降りて、前髪パッツンミエちゃんに舌打ちされながら
沢山の社員に引け目を感じつつ横目で見ながら、この所長室までたどり着いた。
昨日の反省をいかして、俺が持っている中で一番綺麗なシャツと、お洒落なスニーカーを履いてきたつもり。