Tricksters
「うわっ、マジでとれない」
強固な金属は、どんなに暴れてもびくともしない。
こんな椅子販売したら社会的に問題があるんじゃねーの?
絶対悪用する奴いるって……
「話をしよう」
所長が、俺が座っている椅子より立派でなんの仕掛けもない椅子に座り
拘束された俺の目の前で
無駄に長い足を組む。
「えっ……」
その顔は、さっきまでヘラヘラしていたただの男前と違って
もっと、凄く……
なんていうか、冷酷だ。
こぇ……
なんかこいつ恐い。
本能的に、逆らってはいけないような雰囲気があった。
拘束されて恐怖心が上乗せされて、ゴクリと固唾を飲み込んだ。
佐藤さんと鈴木くんと高橋くんは、気にせずに仕事を続けている。