Tricksters
「あら、淳一くん
捕まっちゃったの?
椅子に座るように言われたら、まずその椅子が安全かを確認しなきゃだめよ」
ユカリさんは、椅子に拘束されている俺に普通に話かける。
驚いたり、悲鳴あげたりしないんだな?
「だけど、昨日までは椅子から拘束具が出てくるような生活してませんでしたから……」
「"これからは"注意しなきゃダメよ?
命取りになるわ」
背筋にゾクリと寒気がした。
「これからは?」
「そう、詐欺師ZENに目をつけられた人間は必ず全てを奪われる。
財産、家族、恋人、日常。
守りたいなら、自分で守りなさい」
ふふふ、と声をあげて笑ったユカリさん。
マジかよ?
なんで俺がそんな厄介な奴に目つけられなきゃならないんだよ!