Tricksters
タカシくんは、清掃用モップとバケツを持っていた。
「なにしてんだ?」
「見ればわかるだろが!
オマエのせいで、ヨシミと破局して職失ったんだよ!
清掃員のバイトを始めたんだよ!
生憎、仕事しないと生活できないからな!
オマエこそ、なにしてんだ?
清掃員の俺を笑いにきたか?」
色々と意味が分かんない奴だ。
「なんで、ヨシミちゃんと破局したくらいで仕事やめたんだ?」
「オマエっ、ふざけんな!
ちょっと来い」
タカシくんは、俺の腕を掴むと
人通りの邪魔にならない場所に移動した。
「ははぁん……
淳一、何も知らないような顔して何を企んでる?
このヒモ男」
「ヒモ? 俺は、ヒモなんかじゃねーよ!」
コイツ、昨日から
やたらと酷い暴言吐きやがる。
「嘘だ。
ヨシミとは出張ホストで知り合ったんだろ? 『でも、ホントはホスト辞めたがってるから私が支えてあげたいの』って聞いたぜ?」
なんだ、そのシナリオ!
考えたのは、ヨシミちゃんか?
所長か?
所長だろうな……