ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
扉はちょうど真後ろになる
から、あたしにはその客の
姿を見ることはできない。


でも足音でなんとなくその
動きはわかり――
何の気無しに耳を傾けてると、
足音はなんとあたしのすぐ
右隣りで止まった。


気配を感じて顔を上げると
同時に、耳に飛び込んで
くる無機質な声。


「ジンリッキーね」


「―――――っ!?」


グラスを持ってた指先が、
完全に凍る。


なんで――どうして、彼が
ここに――…!?


「柚木クン――!?」


小さく叫んだあたしを
チラリと見て、柚木クンは
涼しい顔で椅子に座った。


それを見て、マスターが
『あれ、知り合い?』と
呑気に笑う。


_
< 113 / 469 >

この作品をシェア

pagetop