ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
下に降りるためエレベーターに
乗ろうとしたところで、
あたしは少なからず
ドキッとして足を止める。


エレベーターの前には、
先客が一人。――柚木クンだ。


「……お疲れ様。今から?」


何気ないふうを装って、
短く声をかけた。

会社では普通の上司と部下。
無視もできない。


「………はい」


チラッとあたしを見て
そっけない返事をした
だけで、柚木クンはそれ
以上何も言わなかった。


そのことには特に驚かない。
“柚木クン”って人は、
それで普通だから。

でも――…。


エレベーターが到着して
乗り込む。

あたし達以外、乗客はいない。


_
< 206 / 469 >

この作品をシェア

pagetop