ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
母を失ったあの時、まさか
蘭子が後見人を申し出て
くれるとは夢にも思って
いなかった。


顔も知らない遠縁の家や
施設での窮屈な生活を覚悟
していた瞬也にとっては、
学校も変わらないでいいし
ありがたい話だった。


親切に感謝しながら始めた
同居生活。

さすがに蘭子のことを新しい
母だとまでは思えなかった
けれど、徐々に家族に近い
存在になっていければいいなと。

まだ幼かったあの頃は、
本当に純粋に、そう思っていた。


けれど――やがて、気づく。


蘭子の自分を見る目に宿る、
何かを期待する色に。


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