ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
だけどそれ以外に彼に
話しかける人はいない。

異端児だった彼には、
親しい人間は一人もいない。

元から近寄りがたい雰囲気を
かもし出しているうえに
“家庭の事情”だなんて
説明だったから、みんな
詮索するのも敬遠してるん
だろう。


柚木クンは奈々にも
『すみません』とだけ
謝って、机の中の荷物を
整理し始めた。


苦笑しながら、奈々は
全員を代表するように
大きな声で言う。


「まぁ仕方ないよね。

何はともあれ、お疲れ様!」


柚木クンは無言で頷いて、
黙々と片付けをしていた。

社外秘の教材や書類は全て
課長に返却し、私物は大きな
紙袋に詰めていく。


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