ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
蘭子が見ていたのは、
自分ではなかったのだ。


蘭子が自分を通して見て、
求めていたのは――写真の
中の、彼。


(無責任に逃げたような
男なんだぜ?)


それでもきっとこの当時
から、蘭子はこの男のことが
好きだったのか。

先輩である、瞬也の母親の
彼氏だとわかっていても。


そして、その後の彼女達に
どんなことがあったのかは
わからない。


が、こうしてこの写真を
大切に保管しているところを
見ると、瞬也の母親が
捨てられた後、蘭子が
後釜におさまったという
こともないようだ。


やがて大人になって母親と
蘭子が再会した時に
出会ったのは、かつての
思い人の血を受けた、彼に
瓜二つの少年。


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