ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
数日後の退社時には、とう
とう一緒に帰っていた
奈々もそう言った。

そのオジサンは、今日も
いつもと同じケースを持って、
談話スペースに一人で
座っている。


……間違いない、かもしれない。


(あたし……あの人に、
見られてる……?)


ちょうどその時、また
その人と目が合って、
背中がヒヤリと冷える
ような恐怖を感じた。


男の人はすぐにあたしから
目をそらすと、どこか
とってつけたように腕時計を
確認して、ケースを手に
立ち上がりそそくさと
ビルを出ていく。

その背中が、ますます
怪しく見えてしまった。


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