ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
だけど間違いなく、目の前に
立っているのは。


(蘭子さん……!?)


どうしてこの人がここにいて、
あたしを呼び止めるのか。


状況が理解できなくて、
あたしはその場で硬直していた。


温かそうでゴージャスな
毛皮のコートに身を包んだ
蘭子さんは、わずかに頷いて
落ち着いた声で、


「そう、あなたよ。

ちょっとあなたに話があるの。
つきあってもらえるかしら」


「え―――…」


――話? って、一体なんの?


呆然として言葉を返せないで
いると、彼女は形のいい
眉をスッとひそめて、


「ボーッとしないでちょうだい。

ほら、ついて来て」


_
< 370 / 469 >

この作品をシェア

pagetop