ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
(なんか高そうな車――。

これ、蘭子さんの……?)


考えるあたしの目の前で、
蘭子さんはロックを解除して
運転席に乗り込んだ。


二人きりで車で移動すると
いうことに、緊張を
感じないわけはない。

でも、ここまで来て
引き下がるのも情けない。

あたしは覚悟を決めて
助手席のドアを開け、
体を滑り込ませた。


「そんなに警戒しなくていいわ。

落ち着いて話せる所に
移動するだけよ」


前を向いてハンドルを
切りながら彼女が告げた
言葉は、それだけ。


それ以上は今はまだ話して
くれる気配がなかったから、
あたしも黙ってシートに
身を預けていた。


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