ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
蘭子さんなら、もっと激情
あらわに詰め寄って、罵倒を
浴びせてくるんじゃない
かと思ってたんだ。

だからこの落ち着きようは
意外で、逆に少し恐くすら
思えてしまう。

心の裏に、まだ隠された
感情があるようで。



「――もうオレは、蘭子
さんの元へは戻らない。

成人するまで育ててくれた
恩は一生忘れないよ。

でももう、オレは蘭子さんの
望みを叶えることは
できないから」


やがて沈黙を破り、瞬也が
蘭子さんをまっすぐに見て
そう言った。

確固たる意志の宿った、
凛とした声だ。


蘭子さんはすぐには何も
言わない。

しばらく無言で瞬也を見つめ、
そして次にあたしに顔を
向けると、


_
< 449 / 469 >

この作品をシェア

pagetop