ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
あたしと瞬也の声が綺麗に
重なった。


それきりもう、蘭子さんが
こちらに向き直ることは
なかった。

彼女は小さな背中を向けた
まま、早口で吐き捨てる。


「わかったわ。
もういい、出ていきなさい」


「蘭子さん。オレは―――」


「出ていきなさいって
言ったでしょう!」


ピシャリと言い切られて、
思わず顔を見合わせるあたし達。


あたしにはまだ少し、
これでいいのかという
不安があった。

だけど瞬也は、蘭子さんの
態度から何か感じるものが
あったのか、


「行こう、美咲」


「でも―――…」


『ホントにいいの?』と
いう意味を込めて見つめた
瞳にも、瞬也は頷いて、


「うん。帰ろう」


_
< 455 / 469 >

この作品をシェア

pagetop