訳有僕等

 優しい奴。

 直人は本当に、善人を形にしたような奴だった。

 それからあたしは、直人と学校生活を共にした。

 自由時間は勿論、何かするときはいつも一緒だった。

 それは、味わったことのない幸福な時間で。

 楽しくて、時間を忘れることも珍しくはなかった。

 ただ、あたしは、忘れてはいけなかった。

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