訳有僕等

 直人と初めて出会ったのは、高校の入学式の前の日。

 学校の通学路を確かめるため、歩いて学校に行っていた時のことだった。

 誰かの罵声と破壊音に気づき、そこへ向かうと血だらけの男が居た。

 それが、直人だ。

 苛められているのだと、猿でも分かる。

 ただ、理由がわからない。

 ハンカチを出した私に、直人は汚れるからと断り、立ち去った。

 名前も知らない、可哀想ないじめられっこ。

 どうか自殺だけはするなよ。そんな程度の感情しかもっていないのはいたし方の無いことだ。

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