訳有僕等

 そして翌日。

 私の隣の席に、そいつはいた。

 顔、腕、首は絆創膏だらけで、不良にみえなくもないが、その穏やかな顔がああ、苛められる方かと納得させる。

 「あ。昨日の」

 そいつはバカみたいな笑顔で、バカの様な言葉を出した。

 「あぁ。よろしくな。」
 
 社交辞令にそいつは満面の笑みで笑う。

 「よろしく。ボク、水原 直人(みずはら なおと)。君は?」

 尋ねられれば名乗らなければならない。

 「…鳴海 聖子(なるみ さとこ)。」

< 8 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop