ナミダヅキ
アサギはアカカギを見つめ続ける。
強い瞳だった・・・
アカカギは受けて立つと言わんばかりに面の上から見つめ返していたがしばらくするとアサギから顔をそらした。
「・・・わかった。」
アサギの表情が和らいだ。
私はほっとした感覚を胸に覚える。
急にアカカギが私に向かって歩いてくる。
なぜか勝手に身構えてしまった。
背の高いアカカギは私を見下ろした。
やっぱり表情は見えない。
「な・・・何かまだご不満でも?」
私は営業スマイルを彼に向けた。
バサッという音と共にフワリと風を感じる・・・
アカカギが私に番傘を立てかけた音だった。
「ナミダ・・・と言ったな、悪いが俺の愛人のためその身体をお借りしたいのだが。」
「あ、レンタルね。」
アカカギが首を傾げた。
「レレレレレレ・・・レン・・・レンレン・・・タルタル?」
ぶっ・・・外来語・・・言いにくかったかな。