ナミダヅキ
「それではアサギ。ここに来た理由を聞いても良い?」
私は丸いテーブルについていた肘を下ろし彼女に面と向き合った。
アサギは鬱向き気味に口を開いた。
「大切な・・・人のため・・・」
私にはアサギの姿がなぜか切なく見えてきた。
「大切な人って・・・恋人?」
アサギは静かに頷いた。
頷き際にもう一人の訪問者の姿が見えた。
「・・・もう一人、気配を隠すのが上手な人がいる。」
私の言葉の意味にきずいたのかアサギは振り返り訪問者を見て小さな悲鳴と似た声を上げて驚いた。
「アカカギ!?」
アサギは訪問者の名前を呼んだ。