ナミダヅキ
私は少し驚く。
「あ・・・ごめんなさい。大きな声なんか出してしまって・・・」
アサギは口元を両手で押さえながら謝る。そのため声が少し篭っていた。
アカカギはそんなアサギの肩を抱いた。
「アサギ。何のために人の子の力など借りるのだ?」
アカカギは俯くアサギに視線を合わせようとしゃがんだ。
「私は・・・ずっと憧れていた夢を叶えたいのです。」
「夢・・・?」
私は先ほどとは矛盾した事を言うアサギに聞き返した。
アサギは一瞬だが私と目を合わせた。
今にもこぼれだしそうな涙のたまった瞳。
さすがの私にもようやく理解できた。
アサギはきっと・・・アカカギには依頼の事を秘密にしたいのだ。