別れの曲を君に(短編)
「……男だな?」
「えへっ♪」
綾のジト目に、美智はペロリと舌を出す。
目にはハートが飛んでいて、綾は思わず苦笑してしまう。
「やっぱりね」
綾はわざとらしく眉をしかめると、声をワントーン落として美智の肩を引き寄せた。
「それで、相手はやっぱり、2年の坂崎先輩なわけ?」
綾は、美智の意中の人、サッカー部キャプテンの名前を上げた。
その名を聞いた途端、美智のラブラブオーラが、全開になる。
「そうなのよ~。今日は練習が無いから、一緒に帰ろうって誘われちゃってさぁ♪ なんだか、嘘みたい? って本当なんだなこれが!」
「ほえー、すごいじゃない?」
素直な感想が、綾の口からこぼれ落ちる。