別れの曲を君に(短編)

「あーあ。今頃美智は、何してるのかなー」


――そりゃぁ、親友の恋が実るのは嬉しい。


応援しちゃう。


でも、それとこれとは別問題よ。


私、お化けって信じてるし、怖いし、こういうシチュエーションって、いかにも何かが出そうで、一番嫌いなんだからっ。


綾は、心でひたすら愚痴る。


そうしていれば、少しは恐怖が薄らぐような気がした。


「こう言う時に限って、良平は、いないんだからぁ」


ん、もうっ! と頬を膨らます。
< 7 / 32 >

この作品をシェア

pagetop