別れの曲を君に(短編)
「あーあ。今頃美智は、何してるのかなー」
――そりゃぁ、親友の恋が実るのは嬉しい。
応援しちゃう。
でも、それとこれとは別問題よ。
私、お化けって信じてるし、怖いし、こういうシチュエーションって、いかにも何かが出そうで、一番嫌いなんだからっ。
綾は、心でひたすら愚痴る。
そうしていれば、少しは恐怖が薄らぐような気がした。
「こう言う時に限って、良平は、いないんだからぁ」
ん、もうっ! と頬を膨らます。