【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
もし他の職員にバレたら私たちよりも大変なのはさっちゃんだ。


同情してくれたのか、児童福祉法が効いたのかは分からない。


でも、こんな心配そうな顔をしながらも施設の規則を破らせてくれたさっちゃんに本当に感謝した。


ちゃんと帰ってこなきゃな。


そう思いながら施設を出たのは何年振りだろう。


門の前で3人で待っていると、白いセダンが向かってくるのが見えた。


「あ、そうだ。さっちゃん陽介分かるよね?」


車をみて思い出した。


陽介が施設を出る半年前くらいから、さっちゃんはこの施設にボランティアだかバイトだかで来るようになっていた。


だから、陽介のことを知ってるはず。
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