【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「大丈夫か?」


陽介がペットボトルを差し出しながら私の隣に腰掛ける。


「ありがと」


そう言ってペットボトルを口に当てた。


熱がたまったように暑かった体が、喉から冷えていく。


「渋谷ってすごいね」


マルキュー前の入口にたまる派手な集団。


私には遠い世界のようにも見える。


「こんな混んでるとは思わなかった。普段もっとすいてんだけどな」


どこから出したのか、うちわで私と陽介を仰ぎながら笑う。


「陽介はよく渋谷来るの?」


普段って言葉にそう感じた。


「あれ?言ってないっけ?俺こっちの方に住んでんだよ」


「え!?」


だって今日迎え来てくれたじゃん…?


この前も会ったの関内だったし…。
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