【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「山本何様なんだろ。まじムカつくわ」


みんな口々にさっきの男、山本の文句を言うが私を責めないでくれた。


「ごめんね。これ買ってきたから」


服の下に隠しておいたパンやお菓子を出すと、それが分かっていたかのようにみんな当たり前に取っていく。


私が毎朝外に出る代わりに、頼まれていた物を買ってくる。


それで、お互い様という習慣になっていた。


女子棟は、規則を破っても罰は軽い。


殴られたとしても、そんなボコボコにされたこともない。


男子棟で同じことをしたら、多分顔が腫れ上がるまで殴られるだろう。


そんなことくらいで女で良かった、なんて思うのはこの施設にいるからなんだろうか。
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