【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
テーブルに出てきたピザは、耳が軽く焦げていて、葉っぱとトマトとチーズだけが乗ったマルゲリータ。


いつも食べてるピザとは見た目からして違っていた。


一切れ持ち上げると、チーズが伸びる伸びる。


「いただきます!」


初めて口にした窯焼きのピザは、外はサクサクしているのに中はもっちり。


上に具が全然乗っていないのに、すっごく美味しくて声すら出なかった。


「あ、ちょー美味しい!」


笑顔で言った渓が信じられない。


笑って感想言う余裕なんてない。


目を開いたままピザを見つめていた私を、直樹が覗き込む。
< 121 / 358 >

この作品をシェア

pagetop