【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「ただいまー!!」


子供たちが元気に挨拶をして玄関を上がって行く。


そんな姿を靴箱に寄りかかりながら呆然と眺めていた。


気分が重い…。


視線を下げると、握った左手が微かに震えていた。


どんな感情なのか自分でも分からない。


何でこんなに暗い気持ちになってるのかすら分からない。


別にいずちゃんが直樹の家に行ってたって、私には関係ないよ。


それを内緒にしてたって、いずちゃんの考えなんだから仕方ないし。


裏切られたワケでも何でもないよ。


裏切るって行為は、もっと傷つけられるもんだしさ。


いずみ…って呼ばれてるの初めて聞いた。


名前が嫌いだから、いずって呼んでっていつも言ってたのにな…。
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