【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
サイレンの音。


警察やおじさんが叫ぶ声。


私もパニックになった所で記憶が途切れてる。


母親との最後の記憶なのかな。


施設の門で、母親が車の中から私に手を振った。


母親の笑った口元がすごく印象的。


私は泣きながら、待ってって走り出した車を追おうとしたけれど、知らないおばちゃんに抱きしめられて追うことはできなかった。


そのことは何度も夢に出てきた。


今でもたまに見る。


きっとこの先も見るんだろう。


母親との最後の思い出は、笑った口元と車の中の後ろ姿。


捨てられていく自分。


それでも母親が大好きで、施設に来てしばらくは門の見える滑り台から、いつも母親の姿を探していた。
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