【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「じゃあ13時に芸術劇場の前に集合な」


先生が配ったプリントを読みながらそう言った。


「お昼どこで食べる?」


後ろから友達が話しかけてくる。


「どこでもいいよ」


「じゃあ汐入で適当に食べようか」


口角を上げ頷いたが、どこで何食べようがどうでもいい。


毎年、この日は楽しみだったはずなのに今日は気分が浮かない。


『芸術鑑賞』


そう書かれたプリントをため息をつきながら折り畳んだ。


学校で毎年横須賀にある芸術劇場へ行き、音楽を聞いたりバレエを見たりしていた。


今年はオペラ。
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