【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
芸術鑑賞の内容はどうだっていい。


私が楽しみなのは、集合時間までの自由時間。


去年も一昨年も、いずちゃんとデパートを見たりドブ板通りに行ったり、面白かった。


…けど、今年は…。


憂鬱な気持ちが抜けないまま、教室を出ると昇降口にいずちゃんが立っていた。


「…あのさ…話…あるんだけど」


いつものいずちゃんと様子が違うのに気づいたのか、クラスの友達は気を使って別行動にしようと言ってくれた。


気まずい雰囲気の中いずちゃんと駅に向かう。


「お腹減ったね」


わざと明るい声で言うが、いずちゃんは黙ったまま俯いていた。
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