【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
デッキのベンチに腰かける。


平日の昼間だからか、サラリーマンや主婦が少し歩いているだけ。


「私さ…直樹とヤッたんだ」


分かってたよ。


分かってた…。


家に行ったって聞いた時点で、分かってた。


…けど、ズシンと頭が重くなる…。


いつもなら、どうだった?とか笑って聞くけど、笑えないし聞けない。


タバコを取り出して火をつけるのが精一杯だった。


そんな動揺してる私を知ってか知らずか、いずちゃんは話を続ける。


「私、好きな人とヤルのって初めてだったんだよね」


吐き出していた煙りが止まる。
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