【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
緊張しながら、ふわふわのソファーに腰を落とす。


ヤバい…絶対ウリだ…。


膝の上で握った手が汗ばんでくる。


向かいに座った山本。


眼鏡の奥の鋭い目が、気持ち悪いんじゃなく怖くて見れない。


時計の音がやけに大きく感じる。


わずかな沈黙の時間が、長い時間に感じる。


「あ、あの…私何かしましたか?」


重い空気に耐えられず、私から口を開く。


問い詰められてもしらばっくれてやる。


証拠出されたって、自分じゃないって言い通すしかない。


バックンバックン鳴り響く心臓。


山本がテーブルの上に透明のケースを置いた。
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