【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
そっちもあったんだ…。


いずちゃんの本音を聞いてから、2人のことが頭から離れなかった。


だけど、文化祭に行ってる間すっかり忘れていた自分。


それだけ楽しかったんだな。


自分を笑うように失笑し、フォークを口に運んだ。


「いずちゃんはやっぱり直樹が好きみたい」


「えーじゃあライバル?」


ハンバーグを切りながら私に言った。


「ライバルにはならないよ。…私は直樹に好きとか感情ないもん」


手を止めたまままばたきをする渓。


口に出してしまったら、引き返せなくなりそうな気がして、そう嘘をついた。


ライバルにはなりたくない。


私は直樹を好きなんて思ってもないよ。


そう自分に言い聞かせるように、心の中で呟いた。
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