【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
港南台からの帰り道、文化祭に行ったのが大分前に感じた。


楽しい時間はいつも一瞬。


施設に帰らなきゃいけないって憂鬱な気持ちじゃない。


全くの別世界に行った気分。


私の育った環境はやっぱり普通じゃないんだって改めて実感した。


他の人には当たり前の物を私は何一つ持っていない。


母親、父親、家族だけで住む家、家族との思い出、小さな頃の写真、母親との写真。


高校にも行かず、学歴すら捨てて将来私は何になれるんだろう。


施設に留まって高校に進学したとしても、私は普通の社会に適応していけるの?


私は目指す未来が近すぎて、もっと先のことを考えたことすらなかった。


来年、施設を出たら私は今日行った高校の子たちみたいに笑って過ごしていくことができるのかな…。


幸せになってるのかな。


そもそも幸せがどんなことなのかすら分からなかった。
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