【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
施設に帰ると、部屋には誰もいなくて少し安心する。


自分のベッドに寝ころんで、いずちゃんに教えるべきかどうか悩んでいた時、部屋のドアが開く音がした。


いずちゃん!?


まだ整理しきれていない頭が軽くパニックになり、慌てて起き上がった。


「久し振り~」


そうヘラヘラ笑いながら入ってきたのは、明日香。


「ちょっ!!」


通り過ぎようとする明日香の肩を、2段ベッドの2階から身を乗り出して捕まえた。


「ちょっと待って」


明日香はそう言いながら私の手を振り払う。


押し入れを開き洋服棚を漁っている。


「…ないよ」


明日香の後ろ姿に言うと、一瞬固まった後振り向いた。
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