【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
湯船で気持ち良さそうにいびきをかく男。


ゆっくりと顔がお湯についていく。


危ないと思って伸ばした手が止まった。


このままだと死ぬかもよ?


頭の中に響いた悪魔の声。


死ぬ…?


本当にこのままなら死んじゃう…?


…死んでくれるの…?


お湯の中で眠る男を見つめながら、自分の口角が上がっていった。

小学4年生の記憶。


私はこの日の夢をしょっちゅう見ていた。


後悔してるわけじゃない。


罪悪感だってない。


じゃあ何で?


自分でも理由なんて分からない。


だけど、この夢を見た日は起きると必ず震えていた。


孤独感と汚い自分でいっぱいになっていた。


そんな時は必ず海が見たくなる。

海を見てると、全部をリセットしてくれるような気がしてた。
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