【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「…は?何で?」


母親の冷たい声が耳に響く。


聞き間違えなんじゃないかと疑った。


「お母さん…だよね?私、はるか…」


「分かってるよ」


ねぇ、6年振りに娘の声聞いたんだよ?


そんなもんなの…?


もっと違う言葉はないの?


…そんなもんか…私のこと捨てた親だもん…。


さっきとは違う涙がこぼれ落ちる。


悔しくてたまらなかった。


私は何でこんなヤツに期待なんかしたの?


施設から逃げたいって、こいつが施設に送り込んだんじゃん。


なのに、私は何を期待してたんだろう。


施設に捨てて、会いにも連絡もしてこなかった親が、今私から連絡きたって喜ぶはずがない。


心配するはずがない…。


期待した自分に悔しさが募っていった。
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