【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
だけど、きっと心の奥底には心配してほしい気持ちがあったんだ。


だから、母親の言葉を聞いてショックを受けたんだ。


「死にたいってあんたいくつだっけ?悪いけど、父親なんか誰だか分からないよ。あんた生まれなきゃ良かったかもね」


受話器を持っていた手から力が抜けた。


色んな意味でショックすぎる。


歳を覚えてない…?


父親が分からない…?


生まれなきゃ良かった…?


呼吸がどんどん荒くなり、苦しくて喉を両手で押さえながらしゃがみこんだ。


ぶら下がる受話器からは、電話の切れた機械音が聞こえてくる。


苦しい…痛い…


うまく息ができなくて、でも心臓が鳴り響く。


目の前が暗くなっていく中、ドアを押して膝をつきながら外へ出た。
< 204 / 358 >

この作品をシェア

pagetop