【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
体に特に異常はなく、次の日退院した。


発狂したからか、昨日の職員とは違う女の職員が来てくれた。


「大丈夫?」


珍しく優しい声で私を心配し、手をつないできた。


私はそれを振り払い、1人で歩き出す。


また帰らなきゃいけない。


あの場所しか私は帰る場所がない。


頭の中でそう考えていたが、別に憂鬱感も暗くなる気持ちもなかった。


諦めるしかない。


もう、どうでもいい。


もう私は死ねばいいんだ。


そうすれば解放される。


どうだっていいや。


何も感情のわかない自分とは裏腹に、外は雪が溶けるんじゃないかと思うくらいに太陽が輝いていた。


施設に着くと、陽介が駆け寄ってくる。


小学生までは男女同じ棟だったから、普通に男の子との交流も深かった。


「はるか!ちょっと来いよ!」


そう八重歯を見せ嬉しそうな顔で私の腕を引っ張る。
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