【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「転ばないように気をつけろよ?」


そう言いながら、目をつむる私をゆっくりと誘導する。


「オッケー!目開けてみ!」


陽介の弾む声に私はそっと目を開けた。


!?


驚いた私を覗き込んで笑う。


「お前誕生日だったろ?」


目の前には、私の腰くらいまでの高さがある雪のケーキがあった。


ウェディングケーキみたいに、何段階にも重なって、葉っぱや石で飾りまでつけてある。


「ここならチビたちに壊されないって思ったけど、日陰だから溶けなくていい場所選んだな俺」


陽介が笑いながら言うのに対し、私は涙が抑えきれなかった。
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