【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
見慣れた街並みが通り過ぎて行く。


あぁ、本当に連れ出してくれたんだ。


窓の外の景色が、高速道路に変わり実感した。


このまま二度と帰れない場所まで連れて行ってくれたらいいのにな。


二度とあのことを思い出さない場所に連れて行ってほしい。


そう思っていたら、着いたのは見たことのある街並み。


両脇に立ち並ぶ高いビル、前にはスクランブル交差点、その先にはガラス張りの渡り廊下が綺麗だと感じた駅前の景色、小さくて見えないハチ公がどこかにいるはず…。


「渋谷…」


呟いたつもりはなかったけど、勝手に声が出ていた。
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