【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「また後でね」


「は!?どうした?」


過去の記憶に吸い込まれたように、あの子が言っていたことを口ずさむ私。


戸惑っている陽介が目に映っていたけど、あの時の記憶が重なって見える。


「私、まだ死ねないよって言ったんだよ…なのに、笑って手振って…待ってるからねって…」


慌てて柵に走って行ったのに、非常扉の重い音が響く前にあの子は見えなくなった。


「だったら復讐しようよって、殺しちゃおうよって言いたかったのに間に合わなかった…」


「おい!?」


陽介が私の肩を掴んで揺らす。


「待ってるねって言われたのに、私あの子の所にあいつが行くの見届けちゃったんだよ…」


プツッとビデオの再生が終わったように、過去の記憶は消え目の前には私を覗き込む陽介だけが映った。
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