【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「あ、わり…」


陽介の気まずそうな声。


私、陽介にまで気を使わせてんだ…。


一体何がしたいんだろ。


このまま避けてたって何も変わらないのは分かってる。


避けてたって、陽介の言う通り気持ちが消えるなんてことはない。


「…直樹に連絡してみる」


「は!?」


首にぶら下げた携帯を手に取って電源を入れた私に、陽介が肉を落としながら驚いた。


「とりあえず、避けてたこと謝る。それからどうなるかは分からないけど、普通にしてかなきゃいずちゃんにだって怪しまれるし」


「や、ちょっと待てって」


陽介が止めるのと同時に携帯の発信ボタンを押した。


「もしもし?」


1回目のコール音が鳴り終わる前に直樹の声が聞こえた。
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