【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「はるか今どこにいんの?」


え…?


思わず陽介の顔を見た。


陽介の家にいたって知らないから聞いてきたんだよね?


でも、それなら施設にいるって思うんじゃないの?


「…あー…いずちゃんに聞いた?」


「うん…何か連絡取れないってすげー心配してたよ」


自分でいずちゃんの名前を出しておきながら、胸がチクッと痛んだ。


「いや、実は陽介と一緒なんだ(笑)」


笑ってなきゃ痛みが広がりそうだった。


心配されたら泣いちゃいそうだったから、無理に明るい声で言った。


ダメだ、何か情緒不安定。


口元は笑っているのに、どんどん顔が曇っていくのが自分でも分かる。
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