【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
網の上で焦げた玉ねぎを見つめて空笑いを浮かべていると、陽介が私の手から携帯を奪った。


「直樹?俺」


そう言いながら、陽介が私にタバコをくれた。


…落ち着けってこと?


陽介が優しい笑顔で小さく2回頷く。


「はるかさ、施設でちょっと色々あったみたいで今俺が預かってんの。…え?あぁ、ちゃんと言ったよ。…とりあえず落ち着くまではって」


陽介が直樹と電話してるのを、タバコを吸いながら見つめていた。


…いずちゃん心配してるんだ…。


先生たちも心配…ってか焦ってるか怒ってるかだよね…。


…帰らなきゃダメ…だよね…。


いつ?


ご飯食べ終わったら?


朝になったら?


…帰りたくない…。


このまま施設とは関係ない所で生きていきたい。
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