【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「え?」


「あ、あれ、死んじゃわない?」


振り返るモモちゃんに、小さく指を指して言った。


道の反対側で倒れてる男を思い切り蹴る男。


倒れてる男は血だらけの顔が腫れ上がって鼻と頬が同じ高さになっていた。


蹴り上げる度に、バキッて漫画みたいな音が響いてきて見たらいけないって思うのに、体が固まって動かなくなる。


だけど、足を止めているのは私とモモちゃんだけ。


「行こう」


モモちゃんも関心ないようにそう言って歩きだした。


手を引っ張られながらも、後ろを振り返る。


全く動かないあの人は、もう死んじゃってるんじゃないの…?


目からも血出ててイッちゃってる顔だったよ?


ヤバくない?


初めて見た光景に、背筋がゾクッとなって身震いした。
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