【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
そんな声が似合わない大人っぽい雰囲気のフロアを歩いて行く。


メルヘンチックだと思っていた入り口とは反対の黒を基調にした店内。


黒いソファーに黒い壁。


だけど、仕切りは光のトンネルと同じようにブルーに照らされて泡ののぼるガラス。


壁には色々な形のボトルが、これまたブルーの光を下から受けて輝いている。


多分、黒い空間に浮かぶブルーの光が中学生だった私に大人の雰囲気を感じさせたんだろう。


シャンデリアって物もここで初めて見た。


一気に自分が大人になった気がした。


大人になったと言うか、大人の世界に入っていけたという感覚。


それまで自分は同級生に比べて、生い立ちも環境もやってきたことも全然違うから、自分の方が大人だと思ってた。


自分は周りに比べて苦労してる分世間を知ってると思ってた。


周りはみんなガキすぎ、なんて見下していることすらあった。
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