【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
陽介がモモちゃんを抱えるようにエレベーターに乗っていく。


「モモちゃん酔っ払ってくれて助かった」


扉が閉まると、直樹がため息をつきながら呟いた。


「何で?」


「はるかは陽介の家帰るだろ?絶対一緒に行くって言うからさ」


あぁ、なるほど。


「モモちゃんのこと苦手なの?」


エレベーターのボタンを押した直樹の手が止まる。


「…苦手ではないけど、ちょっと色々あってな」


口元にえくぼを浮かべたが、三日月の目はなかった。


色々って…?


でも、一気に重くなった空気に聞けなかった。
< 292 / 358 >

この作品をシェア

pagetop